2024年春の副業調査：賃上げと物価上昇の影響を探る
「はたらいて、笑おう。」をビジョンに掲げるパーソルグループのパーソルイノベーション株式会社が運営する副業人材マッチングサービス『lotsful（ロッツフル）』が、2024年5月に実施した定点調査の結果を発表しました。今回は、副業経験者を対象に、直近半年以内の給与の定期昇給・ベースアップや物価に対する意識についても調査しています。本記事では、その調査結果とともに、中小企業経営者や採用担当者に役立つ情報をお届けします。
パーソルイノベーション株式会社
調査サマリー
この調査のトピックは以下の通りです：
調査結果の詳細
副業実施率の動向
副業経験者の割合は2024年2月の42.3％から5月には38.3％に減少。しかし、前年同月と比較すると、副業経験者は増加しました。特に、男女ともに30代～40代の副業意向は微増しています。一方、20代の副業意向は減少しており、20代男性は21.6％から19.4％、20代女性は25.0％から21.6％に減少しました。
副業実施理由
「自由に使えるお金を増やしたい」という理由で副業を始める人が増加し、2022年5月の調査開始以来、過去最多となる44.4％に達しました。物価高騰が背景にあると考えられ、経済環境が副業意向に影響を与えていることがうかがえます。
副業収入の減少
副業で得た月あたりの平均収入を尋ねたところ、最も多いのは「5万円未満」で26.1％。2022年5月からの推移では、平均副業月収が30万円以上の層が大きく減少し、今回の調査では過去最低の12.9％となりました。
給与と副業の関係
給与の定期昇給やベースアップがあった人が、副業を実施している割合が高いことがわかりました。これは、副業を通じて更なる収入を得ることで、生活の安定を図ろうとする意図があると考えられます。
- 給与と副業の関係
- 直近半年以内に給与の定期昇給やベースアップがあった人の中で、副業を実施している人はそれぞれ52.0％と42.2％に達しています。これは、副業経験者全体の38.3％よりも高い水準です。
物価上昇の実感
物価の上昇を実感している人が多く、副業経験者ではさらにその割合が高いことが分かりました。これは、副業をすることで物価上昇に対応しようとする動きがあることを示しています。
- 物価上昇の実感
- 77.0％の人が物価の上昇を感じており、副業経験者ではさらに高い84.9％が物価上昇を実感しています。
物価の今後の予測
今後半年以内に物価が上がると予測している人が多く、特に副業意向がある人はその傾向が強いことが分かりました。
- 物価の今後の予測
- 75.1％の人が今後半年以内に物価が上がると予測しています。副業意向がある人は特にこの傾向が強く、物価が「ほとんど変わらない」または「上がる」と考える傾向があります。
中小企業経営者や採用担当者へのアドバイス
副業を支援するための施策
中小企業の経営者や採用担当者にとって、社員の副業を支援することは重要です。以下に、副業支援のための具体的な施策を提案します。
柔軟な働き方の導入
副業を支援するために、フレックスタイムやリモートワークの導入を検討しましょう。これにより、社員が副業をしやすくなります。
副業に関する情報提供
副業に関する情報やノウハウを社内で共有することで、社員が副業を始めやすくなります。
福利厚生の充実
副業をする社員に対しても福利厚生を充実させることで、社員の満足度と生産性を向上させることができます。
物価上昇への対応
物価上昇に対応するための戦略を持つことは、企業の経営安定に繋がります。以下の施策を検討してください。
給与改定の検討
物価上昇を反映した給与改定を定期的に行い、社員の生活をサポートしましょう。
コスト削減の工夫
物価上昇によるコスト増加に対して、効率的なコスト削減策を導入し、利益を確保しましょう。
価格転嫁の検討
必要に応じて商品やサービスの価格改定を行い、コスト上昇を適切に転嫁することも検討しましょう。
社員のメンタルヘルスサポート
副業や物価上昇によるストレスが社員のメンタルヘルスに影響を与えることがあります。以下の施策を実施し、社員の健康を守りましょう。
メンタルヘルスケアの強化
副業や物価上昇によるストレスを軽減するために、メンタルヘルスケアプログラムを強化しましょう。
カウンセリングの提供
社員がストレスを感じたときに相談できるカウンセリングサービスを提供することで、社員のメンタルヘルスをサポートします。
ワークライフバランスの推進
社員が仕事と生活のバランスを取れるように支援し、健康で生産的な働き方を促進しましょう。
この調査結果を参考に、中小企業の経営者や採用担当者は、社員の副業支援や物価上昇への対応策を検討し、企業の成長と社員の幸福を両立させるための施策を実施していきましょう。
記者より
2024年春の副業調査は、副業実施率や収入の変動、物価上昇の実感とその予測など、現代のビジネスパーソンが直面している経済環境を浮き彫りにしました。特に、副業実施理由として「自由に使えるお金を増やしたい」という回答が過去最多を記録し、物価高騰が人々の生活に与える影響が顕著に現れています。さらに、給与の定期昇給やベースアップがあっても、副業を実施する人が多いことから、収入増加への強いニーズが伺えます。
調査結果から、中小企業の経営者や採用担当者に対する具体的な提言が浮かび上がりました。柔軟な働き方の導入、副業に関する情報提供、福利厚生の充実、そしてメンタルヘルスケアの強化が重要です。特に、物価上昇への対応策として、給与改定やコスト削減策の導入、価格転嫁の検討が求められます。
この調査結果を基に、企業は社員の副業支援や物価上昇への対応策を見直し、持続可能な成長と社員の幸福を両立させるための施策を実施することが重要です。企業がこのような取り組みを進めることで、社員のモチベーション向上や生産性の向上を図り、より健全な経営環境を築くことができるでしょう。
