6割超が就職活動は順調と回答、定年まで働きたい人は2割未満
2024年度の新入社員を対象とした意識調査が東京商工会議所によって実施され、その結果が公表されました。調査によると、新入社員の6割以上が「就職活動は順調だった」と回答しています。
しかし、定年まで同じ会社で働き続けたいと考える新入社員は2割に満たないことが明らかになりました。この結果から、採用担当者が今後の採用戦略を見直すための重要なポイントを解説します。
2024年度新入社員意識調査
【調査概要】
(1)調査期間:2024年4月2日~4月5日
東京商工会議所
(2)調査方法:Webアンケートシステムを利用
(3)調査対象:当所(事務局:人材・能力開発部 研修センター)が実施した新入社員研修の受講者1,021名
(4)回答数 :957名(回答率:93.7%)
就職活動の順調さが過去最高に
調査によれば、「就職活動が順調だった」および「ほぼ順調だった」と回答した新入社員の割合は合計で62.2%に達しました。これはコロナ禍前の2019年度調査を上回り、コロナ禍以降の調査(2021年度~2024年度)でも最も高い数値となりました。
文系・理系別に見ると、文系で52.0%、理系で68.5%が「順調だった」または「ほぼ順調だった」と回答しており、いずれも2019年度を上回る結果となっています。
内定取得企業数の増加
大学卒の内定取得企業数の平均は、文系が2.20社、理系が2.31社と、いずれも2023年度より増加しました。これは新卒者の選択肢が広がり、企業側も多様な人材を確保するために積極的に採用活動を行っていることが反映されています。
定年まで働きたい新入社員は減少傾向
「定年まで働きたい」と考える新入社員の割合は21.1%で、10年前の2014年度調査(35.1%)と比べて大幅に減少しました。一方、「チャンスがあれば転職したい」と答えた新入社員は26.4%で、2014年度(11.9%)から大幅に増加しています。この結果から、新入社員の長期勤続志向が低下し、転職志向が高まっていることが示されています。
就職先を決める際に重視するポイント
新入社員が就職先を選ぶ際に重視したポイントとしては、「処遇面」(56.0%)、「社風、職場の雰囲気」(54.3%)、「福利厚生」(45.4%)が上位を占めています。
採用担当者が考慮すべきポイント
この調査結果を受け、採用担当者は以下の点を考慮することが重要です:
- 処遇面の見直し
新入社員が最も重視するのは処遇面です。初任給や賞与、手当などの条件を見直し、競争力を高めることが必要です。 - 職場環境の改善
社風や職場の雰囲気も重視されているため、働きやすい環境づくりや職場の雰囲気の向上に努めることが求められます。 - 福利厚生の充実
福利厚生の充実も重要な要素です。社員が安心して働けるような制度の整備が必要です。 - キャリアパスの明確化
転職志向が高まっているため、長期的なキャリアパスや成長の機会を提供し、社員の定着を図ることが求められます。 - ワーク・ライフ・バランスの推進
働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推進も重要です。柔軟な働き方や休暇制度の整備を進めることで、社員の満足度を高めることができます。
まとめ
2024年度新入社員意識調査の結果、新入社員の6割以上が就職活動を順調に終えた一方で、定年まで同じ会社で働きたいと考える人はわずか2割に満たないことが明らかになりました。
この結果を踏まえ、採用担当者が考慮すべきポイントとしては、処遇面の改善、職場環境の向上、福利厚生の充実、キャリアパスの明確化、ワーク・ライフ・バランスの推進が挙げられます。
新入社員のニーズに応えることで、優秀な人材の獲得と定着を図ることが可能です。今回の調査結果を基に、効果的な採用戦略を立てるための一助としてください。