年収満足度と人事評価の実態：中小企業が従業員エンゲージメントを高めるために必要なこと

「働く人の本音調査2024」から学ぶ人的資本経営の重要性

現代の経営環境は急速に変化しています。産業構造の変化、少子高齢化、そして個人のキャリアに対する意識の変化などがその要因です。こうした背景から、企業価値を持続的に向上させるためには、人的資本の重要性がますます注目されています。そこで、今回は株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「働く人の本音調査2024」の結果を基に、中小企業の経営者や採用担当者に役立つ情報をお届けします。

「今の年収に満足している?」の回答結果

「Ａ．給料（月給や賞与の増減）」と「Ｂ．仕事の機会（希望する仕事が任されたり、異動希望が叶うこと）」のどちらのほうに、人事評価をより反映してほしいと思いますか」の回答結果

人事評価がより反映されているのは、「Ａ．給料（月給や賞与の増減）」と「Ｂ．仕事の機会（希望する仕事が任されたり、異動希望が叶うこと）」のどちらですか」の回答結果

人材マネジメントの希望と実態の合致/乖離によるワーク・エンゲージメントスコアの平均値の違い

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

現在の年収に対する意識

従業員の満足度を測る上で、年収は非常に重要な要素です。給与は従業員の生活を支えるだけでなく、仕事に対するモチベーションにも大きく影響します。

調査によると、現在の年収に満足している人はわずか27.2%しかおらず、特に50代でも満足している人は3割未満にとどまっています。この結果は、従業員の多くが現状の給与に対して不満を抱いていることを示しています。年収が高いと思われる50代でも満足度が低いことから、給与に対する期待と現実のギャップが大きいことがうかがえます。

人事マネジメントに対する希望と実態の乖離

人事評価は従業員のモチベーションやエンゲージメントに直結します。しかし、希望する評価と実際の評価に乖離がある場合、その影響はどうなるのでしょうか。

調査では、人事評価に対して「給料」を重視する人が75.0%に上る一方で、実際に給料に反映されている割合は51.3%にとどまっています。この乖離があることで、ワーク・エンゲージメントが低下する傾向が見られました。人事評価の透明性と公正さを高め、従業員の期待に応えることが重要です。従業員が望む評価が得られないと、仕事への意欲や会社への信頼感が低下するリスクがあります。

人間関係とワーク・エンゲージメントの関係性

職場の人間関係は、従業員の働きやすさやモチベーションに大きな影響を与えます。良好な人間関係は、従業員のワーク・エンゲージメントを高める重要な要素です。

調査結果から、共通の話題や趣味で盛り上がれる上司・同僚がいることや、キャリアについて何でも相談できる環境が、ワーク・エンゲージメントを高める要因となっていることが明らかになりました。これは中小企業でも取り組みやすいポイントであり、職場の人間関係を良好に保つためのコミュニケーション促進策を導入することが推奨されます。例えば、定期的なチームビルディング活動やオープンなコミュニケーションの場を設けることで、従業員同士の関係を強化できます。

調査結果から見える今後の対策導入文

調査結果を基に、中小企業の経営者や採用担当者が取り組むべき具体的な対策について考えてみましょう。従業員の満足度とエンゲージメントを高めるためには、どのような施策が有効なのでしょうか。

1. 給与体系の見直し
   従業員の給与満足度を高めるために、市場調査を行い、競争力のある給与体系を構築することが必要です。定期的な給与見直しやインセンティブ制度の導入も効果的です。
   
2. 透明な人事評価制度の導入
   人事評価の基準を明確にし、従業員が納得できる評価プロセスを確立することが大切です。評価基準を公開し、フィードバックを積極的に行うことで、透明性を高めることができます。
   
3. コミュニケーションの活性化
   上司と部下、同僚同士のコミュニケーションを促進するためのイベントやワークショップを定期的に開催することが効果的です。オープンなコミュニケーション環境は、従業員のストレスを軽減し、エンゲージメントを向上させます。
   
4. キャリア支援の強化
   従業員が自身のキャリアについて相談できる環境を整えることで、エンゲージメントを向上させることができます。メンター制度やキャリアコーチングを導入することで、従業員の成長を支援します。

記者より

「働く人の本音調査2024」から得られる知見は、企業が持続的に成長するための貴重な指針となります。中小企業の経営者や採用担当者は、これらの結果を踏まえた施策を導入し、従業員の満足度とエンゲージメントを高めることで、企業の価値を向上させることが期待されます。

この調査の詳細については、リクルートマネジメントソリューションズの公式サイトをご覧ください。