若手社員のキャリアビジョンが見えない現状とその対策
株式会社あしたのチーム(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:赤羽博行)が実施した「中小企業で働く20代のキャリア形成に関する意識調査」によると、約6割の20代社員が自身のキャリアビジョンを見失っていることが明らかになりました。ここでは、その調査結果と中小企業の経営者や採用担当者に役立つ情報を基に、今後の対策について考察します。
株式会社あしたのチーム
調査概要
まず、調査の概要を確認しましょう。この調査は、全国の中小企業に勤める20代の正社員300人を対象に、キャリア形成に対する意識を調べたものです。調査はインターネットを通じて行われ、2024年5月23日から24日にかけて実施されました。
調査結果のポイント
1. キャリアビジョンの不透明感
調査結果によると、多くの20代社員が自身のキャリアビジョンを持てずにいることがわかりました。具体的には、以下のような回答が得られました。
キャリアビジョンが見えていないと回答した人は60.3%、一方で見えていると答えた人は39.6%でした。
2. キャリアビジョンが見えない理由
なぜキャリアビジョンが見えないのか、その理由も調査されています。主な理由は次の通りです。
3. キャリアビジョンを描くのに役立ったもの
キャリアビジョンを描けている人たちが参考にしているものも調査されています。主なものは以下の通りです。
4. ロールモデルの不在
調査によると、社内にキャリアの参考にできる先輩社員や上司が「1人もいない」と答えた人は30.0%に上り、特にキャリアビジョンが見えていない人では44.2%と高い割合を占めています。
経営者や採用担当者への提言
若手社員のキャリアビジョンが見えない背景には、ロールモデルの不在やライフプランの不確実性があります。この状況を改善するために、以下の対策が有効です。
1. キャリア支援の強化
まずは、キャリア支援を強化することが重要です。具体的には、以下の施策が考えられます。
- 定期的な面談を通じたキャリア支援
- 上司との定期的な面談を通じて、社員のキャリアビジョンを共に考え、方向性を示すサポートを行う。
- キャリアパスの明確化
- 昇進や昇給の具体的な道筋を明確にし、社員に対して透明性を持たせることで、キャリアの展望を描きやすくする。
2. 研修制度の充実
社員がスキルアップできる環境を整えることも重要です。以下のような施策を取り入れることで、社員のキャリアビジョン形成を支援できます。
- 社内研修や外部セミナーの推奨
- 社内での研修や、外部セミナーへの参加を奨励し、社員が新たな知識やスキルを身につける機会を提供する。
- 資格取得やリスキリングへの支援
- 資格取得やリスキリングに対する費用面や時間面での支援を行い、社員の成長を促す。
3. 心理的距離の縮小
上司と部下の心理的距離を縮めることで、キャリアに関する相談がしやすい環境を作ることも重要です。
- コミュニケーションの促進
- 日常的なコミュニケーションを促進し、上司と部下の関係を強化する。
- フィードバックの充実
- 人事考課のタイミングでの面談機会を増やし、キャリアについてのフィードバックを充実させる。
4. 社外ロールモデルの活用
社内にロールモデルが少ない場合、社外のロールモデルを活用することも一つの手段です。
- SNSや外部専門家の活用
- SNSや外部の専門家を活用し、社員が憧れるロールモデルを提供する。
- 成功事例の共有
- 社外で活躍する先輩社員の成功事例を社内で共有し、社員のモチベーションを高める。
記者より
株式会社あしたのチームの赤羽博行氏は、「個」に焦点を当てたキャリア支援の重要性を強調しています。若手社員のキャリア支援は企業の成長にも直結するため、今の時代に合わせたキャリア支援の在り方を見直すことが求められます。人手不足が深刻化する中、企業側の積極的な取り組みが必要です。
これらの対策を通じて、若手社員が自身のキャリアビジョンを明確に描けるよう支援し、企業全体の成長を促進していきましょう。